小説にみる明治・大正・昭和(戦前)の教育あれこれ

小説に描かれた明治・大正・昭和戦前の教育をあれこれ気ままに論じていきます。漱石『坊っちゃん』は「『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ」(https://sf63fs.hatenablog.com/)へ。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

山本有三「波」その4 中等教員への道 その2

「坊っちゃん」に見る明治の中学校あれこれ: 国民的名作を教育史から読み直す 作者:藤原重彦 Amazon しかし中等教員検定試験の日が近づいたので、行介はあまりそんなことを考えている暇はなかった。試験は今度で三度目だった。今度駄目だったら、彼はもう諦…

山本有三「波」その3 中等教員への道 その1

行介はきぬ子との間に出来た男の子(実の子どもではないのではと悩んでいたが・・・)を里子に出すことにしました。 行介もさすがに残り惜しいような気がしないでもないが、しかしこれで駿(すすむ)の片がつけば、彼は本当に身軽になれるばかりでなく、十分勉…

山本有三「波」その2 尋常夜学校 ~知られざる「もう一つの小学校」~

行介の受け持つ組で級長をしている君塚きぬ子は、生活苦から大阪の芸者屋へ「下地っ子」として売られていきました。行介は大阪の警察に知り合いがあったことから、抱え主に掛け合ってもらい、二年間での借金返済を条件にきぬ子は東京に戻りますが、父親は彼…