小説にみる明治・大正・昭和(戦前)の教育あれこれ

小説に描かれた明治・大正・昭和戦前の教育をあれこれ気ままに論じていきます。漱石『坊っちゃん』は「『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ」(https://sf63fs.hatenablog.com/)へ。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『銃口』その8 弾圧②「北海道綴方連盟事件」

「実はあなたは、上司の命令によって検挙された被疑者です」 と、一通の書類を胸のポケットから取り出した。竜太の目に、「北森竜太、右の者治安維持法被疑事件被疑者として拘引す」 の文字が飛び込んだ。わけても、「治安維持法違反」の文字が、竜太に大き…

三浦綾子『銃口』その7 綴方教師への弾圧①

綴り方の時間を作業に振り向けさせられるという不本意なことがあって後、竜太の心の中に変化が生じていました。 それまで格別の関心を持たなかった綴り方の指導に、意欲が湧いたのだ。できたら綴り方連盟とやらに加盟して、勉強してみたいという思いさえ湧い…

三浦綾子『銃口』 その6 潰される綴方の時間

昼休みのひと時、職員室の自分の席にくつろいでいた。と、職員室に入って来た教頭が、「北森先生、ちょっと・・・・・」 と手まねきをした。満面に笑みを浮かべていた。どちらかといえば、ふだん笑顔の少ない教頭なのだ。竜太は教頭の傍(そば)に近寄って行った…

三浦綾子『銃口』その5 昭和12年、小学校では・・・

■ 昭和12年と言えば・・・・ 昭和12年(1937)9月、竜太は空知郡幌志内(炭鉱の町・歌志内がモデル)の小学校に赴任することになり、校長の沢本を訪ねました。 歌志内の町 歌志内市ホームページ「歌志内学」より ※時代不明 まだ軍隊を出たばかりの坊主頭だが、三…