小説にみる明治・大正・昭和(戦前)の教育あれこれ

小説に描かれた明治・大正・昭和戦前の教育をあれこれ気ままに論じていきます。漱石『坊っちゃん』は「『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ」(https://sf63fs.hatenablog.com/)へ。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

中勘助『銀の匙』その3 修身と操行点

名作でたどる明治の教育あれこれ: 文豪の描いた学校・教師・児童生徒 作者:藤原重彦 Amazon 私のなにより嫌いな学課は修身だつた。高等科からは掛け図をやめて教科書をつかうことになってたがどういう訳か表紙は汚いし、挿画はまずいし、紙質も活字も粗悪な…

中勘助『銀の匙』その2 日清戦争下の小学校ーちゃんちゃん坊主と大和魂ー

主人公が重い麻疹(はしか)に罹って学校を休んでいる間に、大好きな中沢先生ー病気のために予備役になっていた元海軍士官ーは、日清戦争の勃発により招集されており、新任の丑田先生が受け持ちになっていましたが、彼はこの先生と全く気が合わないのでした。…

中勘助『銀の匙』その1   試験と席次

【作品】長編小説。前編は大正二年(一九一三)四月から大正六年(一九一七)二月まで「東京朝日新聞」に連載。脱俗孤高の詩人として知られる中勘助の幼少年時代を浮き彫りにした作で、夏目漱石はこれを「子供の世界の描写として未曾有のものである」と激賞…

コラム6 小学校で落第 その2

陶山直良 編『画引小学読本』( 積玉圃、1876年)より それでは、進級試験では実際にどんな問題が出題されていたのでしょうか。ここでは、明治10年(1877)愛媛県伊予師範学校編「小学試験参考」の中から、下等第八級の問題を見ていきましょう。ただし、「参…

コラム6 小学校で落第 その1

島津製作所二代目・島津源蔵の卒業証書(明治11年3月)島津製作所ホームページより「~二代目源蔵の卒業証書にみる当時の小学校事情~」 https://www.shimadzu.co.jp/visionary/memorial-hall/blog/20150630.html ■ 半年ごとに卒業証書 上の写真は、島津製作…