小説にみる明治・大正・昭和(戦前)の教育あれこれ

小説に描かれた明治・大正・昭和戦前の教育をあれこれ気ままに論じていきます。漱石『坊っちゃん』は「『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ」(https://sf63fs.hatenablog.com/)へ。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

コラム11 ランドセル そのはじまりは?

仲よし小道は どこの道いつも学校へ みよちゃんとランドセル背負(しょ)って 元気よくお歌をうたって 通う道 (作詞:三苫やすし、作曲:河村光陽、『仲よし小道(なかよしこみち)』、昭和14年・1939) www.youtube.com 80年以上も前の童謡にも歌われたラン…

新田次郎『聖職の碑』聖職の碑その5 山岳気象遭難・その後の白樺派流教育

そして彼は、彼の意見に反発しようとする二、三の声を両手で押さえながら云った。「私は校長として、八月二十六日の駒ヶ岳登山は予定通り実行することを諸君に告げる。参加者は高等科二年生の有志とするほか、今年は青年会にも参加を呼びかけたいと思ってい…

新田次郎『聖職の碑』その4 「鍛錬主義教育」とは

職員会議の席上、若手の唱える白樺派流の理想主義教育に対して、校長の赤羽長重は「実践に重きを置いた教育」の必要性を説き、それを今後の方針として表明しました。 赤羽が鍛錬の一語を出したとき、有賀喜一が立ち上がった。「その言葉*は既に信濃教育界か…

新田次郎『聖職の碑』その3 新教育の思想と学校現場の実態

「われわれは教科書中心主義の文部省の教育方針を後生大事に守っているだけではいけないと思います。時世の流れに応じた教育がどんなものであるかは、まだはっきりしませんが、子供たちの個性を尊重する教育に力を入れねばならない時が来たことだけは確かな…