小説にみる明治・大正・昭和(戦前)の教育あれこれ

小説に描かれた明治・大正・昭和戦前の教育をあれこれ気ままに論じていきます。漱石『坊っちゃん』は「『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ」(https://sf63fs.hatenablog.com/)へ。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

島崎藤村『破戒』その3  「天長節」

本ブログでは「田山花袋『田舎教師』③」でも、「天長節」を取り上げています(https://sf63fs.hatenadiary.jp/entry/2019/05/07/114653)が、今回は少し違った話題を取り上げます。 さすがに大祭日だ。町々の軒は高く国旗を掲げ渡して、いづれの家も静粛に斯…

島崎藤村『破戒』その2 老教員の本音・「教師像」の変化

『・・・・我輩なぞは二十年も――左様(さやう)さ、小学教員の資格が出来てから足掛十五年に成るがね、其間唯同じやうなことを繰返して来た。と言つたら、また君等に笑はれるかも知れないが、終(しま)ひには教場へ出て、何を生徒に教へて居るのか、自分乍ら感…

島崎藤村『破戒』その1 「名誉の金牌」とは  

毎月二十八日は月給の渡る日とあつて、学校では人々の顔付も殊に引立つて見えた。課業の終を告げる大鈴が鳴り渡ると、男女の教員はいづれも早々に書物を片付けて、受持々々の教室を出た。悪戯盛(いたづらざかり)の少年の群は、一時に溢れて、其騒しさ。弁…

コラム5 明治・大正時代の「夏休み」その2 

大正13年(1924)静岡県教育会編集の「ナツヤスミノトモ 尋常科一学年用」(https://arukunodaisuki.hamazo.tv/e7556148.html) ■ 夏休み・子どもたちの暮らしぶり 明治34年(1901)7月刊行の雑誌「児童研究」(日本児童学会)には、 「研究實例 夏季休業中…