小説にみる明治・大正・昭和(戦前)の教育あれこれ

小説に描かれた明治・大正・昭和戦前の教育をあれこれ気ままに論じていきます。漱石『坊っちゃん』は「『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ」(https://sf63fs.hatenablog.com/)へ。

2019-01-01から1年間の記事一覧

趣味あれこれ 「東京混声+神戸市混声」

待ちに待ったこの演奏会❗️ 草刈りは昼までに終えて、五時過ぎから出かけました。 東混は2年前に茨木市へ聴きに行って以来。 (神戸市混声は加東混声で「第9」をやったときに、賛助出演してもらいました。) 内容コメントは省略して、とにかくこの顔ぶれでS…

田山花袋『田舎教師』④ 講習会と夏休み

■ 教員講習会 次の土曜日には、羽生の小学校に朝から講習会があった。校長と大島と関と清三と四人して出かけることになる。大きな講堂には、近在の小学校の校長やら訓導やらが大勢集まって、浦和の師範から来た肥った赤いネクタイの教授が、児童心理学の初歩…

田山花袋『田舎教師』③ 天長節

天長節には学校で式があった。学務委員やら村長やら土地の有志者やら生徒の父兄やらがぞろぞろ来た。勅語の箱を卓テーブルの上に飾って、菊の花の白いのと黄いろいのとを瓶にさしてそのそばに置いた。女生徒の中にはメリンスの新しい晴れ衣を着て、海老茶色…

田山花袋『田舎教師』② 郡視学

郁治の父親は郡視学であった。(中略) 家が貧しく、とうてい東京に遊学などのできぬことが清三にもだんだん意識されてきたので、遊んでいてもしかたがないから、当分小学校にでも出たほうがいいという話になった。今度月給十一円でいよいよ羽生(はにゅう)…

田山花袋『田舎教師』① モデル小林秀三のこと

名作でたどる明治の教育あれこれ: 文豪の描いた学校・教師・児童生徒 作者:藤原重彦 Amazon 作品の名前はよく知られていても、読まれた方はそう多くないでしょうから、作品と作者の解説文、それに冒頭部分を挙げておきたいと思います。 日露戦争に従軍して帰…

正宗白鳥 『入江のほとり』③ 英語の独学

広い机の上には、小学校の教師用の教科書が二三冊あって、その他には「英語世界」や英文の世界歴史や、英文典など、英語研究の書籍が乱雑に置かれている。洋紙のノートブックも手許に備えられている。彼れは夕方学校から帰ると、夜の更けるまで、めったに机…

正宗白鳥『入江のほとり』② 代用教員その2

「辰は英語を勉強してどうするつもりなのだ。目的があるのかい」冬枯の山々を見わたしていた栄一はふと弟を顧みて訊いた。 ブラックバードの後を目送しながら、「飛ぶ」に相当する動詞を案じていた辰男は、どんよりした目を瞬きさせた。すぐには返事ができな…

正宗白鳥『入江のほとり』① 代用教員

『入江のほとり』(『太陽』大正4年4月)の舞台は作者正宗白鳥(明治12年~昭和37年:1879~ 1962年)の故郷・岡山県和気郡穂浪村(現在の備前市穂浪)です。 白鳥は十人兄弟の長男でしたが、作品には主要な登場人物として、弟三名、妹一名、そして白鳥自…

高校同窓会 45年ぶりの人も❗️

◆18年ぶりの高校同窓会に行ってきました。さすがに参加者は過去最高の63人(37%) クラス毎のテーブルでしたが、中にはお名前がわからない人も(特に女性)。 とにかく、あっという間の三時間でした。 ◆欠席者の近況報告が次第に載せてありましたが、多い言…

大庭みな子『津田梅子』③ ー女子英学塾の評判ー

ブリンマー時代の梅子の人望と、その後の世界各地での風評がその根底にあると想像するが、次々と信じられない額の寄付がアメリカの友人たちから寄せられ、半年後にはフィラデルフィア委員会からの送金で、元園町一丁目四十一番地の醍醐忠順侯爵の旧邸を買い…

大庭みな子 『津田梅子』② ―女子英学塾開校―

■ 女子中等教育の開花と進展 梅子が目指した女子の高等教育が普及するためには、前段階として女子中等教育の普及が必要でした。 まず、高等女学校を初めとする女子の中等教育について、『学制百年史』によって大まかに見ていきたいと思います。 文部省や府県…

趣味あれこれ 落語会 「あべのでじゃくったれ」

贔屓の噺家さん、桂雀太さんの落語会。(東は瀧川鯉昇さんが贔屓で三月末に福井まで追っかけ(笑))二ヶ月ぶり、今年二回目です。会場はあべの近鉄の9階。 (演目) 桂源太 兵庫船 桂雀太 始末の極意 桂米紫 宗論 桂雀太 崇徳院 四席ともフルバージョンを堪能させ…

大庭みな子 『津田梅子』① ~私塾創設へ~

モリス婦人宛の手紙 一八九九年十二月二十八日 昨年お話ししたように、華族女学校を今年度が終わったら辞めるつもりです。どんなにこの時を待ち望んでいたか、わかって下さると思います。幼い貴族の子女を教えるという名誉はあるにしても、・・・・・私の計画はよ…

坪内逍遙『当世書生気質』③ ー英語を使いたがる書生たち ー

この作品では会話体の漢字に「カタカナ英語のルビ」が多用されています。( )内がそれです。 須「オオ宮賀か。君は何処へ行つて来た。」宮「僕かネ、僕はいつか話をした書籍(ブツク)を買ひに丸屋までいつて、・・・・尚門限は大丈夫かネエ。」須「我輩の時計…

坪内逍遙 『当世書生気質②』―硬派書生の愛読書―

九尺二間の障子は、腰板あさましう破れ砕けて、坐相撲(すわりずもう)の古跡(あと)いちじるしく、縁無(へりなし)八畳の琉球表は、処々摺れ破れて、柔術(やわら)のお温習(さらい)の盛んなるを示す。夜被(よぎ)はたたまずして、押入の内に投入れ、…

坪内逍遙 『当世書生気質①』―書生と学生―

名作でたどる明治の教育あれこれ: 文豪の描いた学校・教師・児童生徒 作者:藤原重彦 Amazon さまざまに移れば変る浮き世かな。幕府さかえし時勢には武士のみ時に大江戸の、都もいつか東京と、名もあらたまの年毎に開けゆく世の余澤(かげ)なれや。(中略) …

二葉亭四迷 『平凡』

試験!試験!試験! 今になって考えて見ると、無意味だった。何の為に学校へ通ったのかと聞かれれば、試験の為にというより外はない。全く其頃の私の眼中には試験の外に何物も無なかった。試験の為に勉強し、試験の成績に一喜一憂し、如何(どんな)事でも試…

徳富健次郎  『思出の記』⑤

■民権私塾の時代 西山塾の閉塾後、慎太郎は私立育英学舎に進学し、自由民権運動の理論的指導者・駒井哲太郎(馬場辰猪・ばばたついがモデルとする説もあります)の薫陶の下で英語を学び始めます。 この育英学舎というのは、作者・徳富健次郎(蘆花)の兄猪一…

趣味あれこれ 落語「西明石浪漫笑」

毎月第二金曜日は西明石駅近くのお酒屋さん「HANAZONO」で地域寄席「西明石浪漫笑」が催されています。 桂梅團治さんの主宰、ゲストの落語家さんが毎回二人。三席で1200円とリーズナブル❗️ 後の打ち上げに参加の人は3000円となっています。 今日は通算319回目。3…

4ヶ月ぶりの

昨年11月末に田起こししてから、4ヶ月余りが過ぎて、やっと一つの田んぼで、二回目の耕起が出来ました!わずか9アールですがなんとか乾いてくれてました。 春先に周期的に雨が降ったせいです。草も例年以上に伸びてました。 すぐそばに桜並木がある大きな田…